福川裕一
小樽100年プロジェクトが始動
小樽が再び動き出した。2019年5月25日、旧三井銀行小樽支店を会場に「始動!小樽100年プロジェクト・セミナー」が開催された。立ち見も出る盛況ぶりで、最後は「小樽の歴史的建造物と文化財を活かすまちづくり宣言」を採択、参加者一同、次のステップへ向け行動を開始することを誓った。▶︎小樽宣言
このセミナーは、翌26日の全国町並み保存連盟総会を記念して開催された。全国町並み保存連盟と小樽の運河保存運動は、1980年に第3回全国町並みゼミ小樽・函館大会を開催して以来である。その後の運動の行く手を全国の仲間が見守った。結果的には、運河は半分埋め立てられたものの、北海道初の景観条例が制定され、歴史的建物の保存と活用が進められ、多くの観光客をひきつけてきた。20年後の2001年には、再び第24回全国町並みゼミ小樽大会を開催し、その成果を検証した。それからさらに20年。小樽の人々は、これまでの成果を一層発展させる必要があると立ち上がり、今回のセミナーとなった。目指すのは、重要伝統的建造物群保存地区などの制度を駆使し、小樽の歴史的環境の保全をいっそう確実なものとしていくことである。
セミナーでは、西村幸夫神戸芸術工科大学教授の基調講演「全国からみた小樽のまちづくり運動と未来」、八女の北島力さんから事例報告「福岡県八女市八女福島の事例」があり、建築史家の駒木定正さんとの鼎談ののち、上記の宣言文が採択された。9ヶ月前に選出されたばかりの迫俊哉小樽市長も講演を報告を聞き入った。