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福川裕一

30周年をむかえた川越一番街・町並み委員会

川越一番街の町並みをマネジメントしてきた住民組織・川越町並み委員会が30周年をむかえ、11月10日「30年報告会」が行われた。

 町並み委員会は、1986年度に川越一番街商店街共同組合が取り組んだコミュニティマート構想モデル事業の結論に基づいて、組合員が「町づくり規範に関する協定」を結び、1987年9月に発足した。同協定にもとづいて、67のパタン(町づくり・建築の原則)からなる「町づくり規範」を定め、これを規準に一ヶ月に一回、住民が建築計画等を持ち寄って議論する。10年後、一番街一帯は、1996年に重要伝統的建造物群保存地区へ選定され、市役所が保存計画によって町並みをコントロールする仕組みが整備されたが、その後も建築計画等をまず町並み員会に諮る体制は維持されてきた。当初は、商店街組合の一小委員会であった町並み委員会は、2009年8月には保存計画に基づく住民協議会と位置付けられ、2015年3月には市景観条例の定める景観推進団体となった。この間、グッドデザイン賞特別賞(1999)、日本都市計画協会大賞(2003)、まちづくり月間国土交通大臣賞(2013)、地方自治法施行70周年記念総務大臣表彰(2017)などを受賞している。

 一番街の老舗料亭・山屋で開催された30年報告会では、1998年以降20年にわたり2代目委員長を務めた可児一男さんが30年の歴史を振り返る報告を行い、その後たくさんの来賓から祝辞をいただいた。また、出席者には出来たばかりの記念誌『町並み委員会30周年』が配布された。表紙に、1987, 2007, 2017年の三段階の町並みの連続写真がレイアウトされ、町並み委員会の成果がひと目でわかる仕掛けになっている。内容では、町並み委員会の活動が各年毎に整理され、「可児さんコラム」で川越一番街のまちづくりの経過がわかりやすく解説されている。

 町並み保存では、住民が自主的に町並みをマネジメントする組織として、妻籠の統制委員会、竹富島の調整委員会が知られるが、30年にわたる川越町並み委員会の活動の継続は、間違いなく日本のまちづくりにおける偉業といえよう。可児さんは委員長を笛木弘治さんへバトンタッチしたが、今後も町並み委員会の活動が持続的に継続することを期待したい。なお、笛木さんの急逝で現在は原知之・蔵の会会長が4代目委員長をつとめる。

*川越町づくり規範に関する協定と川越一番街・まちづくり規範は、一番街の太陽堂書店で買えるほか、下記のクリエイティブタウン推進協議会のホームページからダウンロードできる。30周年記念誌は蔵の会へお問い合わせを。

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